令和元年度 第18回 卒業証書授与式


理 事 長 告 辞

 新たな船出の第一歩となる卒業式を晴れやかに迎えることができ、まことにおめでとうございます。入学してからの3年間、また6年間はあっという間ではなかったでしょうか。私は、皆さんのこれまでの奮闘を心から称えたい気持ちでいっぱいです。

 今、時代はかつてない激動の変化に直面しています。とりわけテクノロジーの加速度的な進歩は目を見張るばかりです。18世紀末に開発された蒸気エンジンは約100年の間、主役の座を譲ることなく君臨し続けました。画期的な技術の相次ぐ発明によって人間の生活と社会に劇的な変化をもたらした産業革命も今から見ると実に緩やかな変化に過ぎなかったと言われています。しかし、現在の技術の進歩はそれとは比較にならないスピードで進んでおります。そうした激しい変化の時代にあっては、せっかく身に着けた最先端の知識やスキルでさえ、たちまちのうちに陳腐化してしまいかねないと言っても過言ではありません。

 アメリカの著名な世界的ジャーナリストで三度にわたりピューリッツァー賞を受賞したトーマス・フリードマン氏は、第二次世界大戦から2000年の初頭にかけての約50年間は、気候変動もなく、企業も国も労働者も平均的でいることができた「非常に安定した時代」であったのに対して、技術革新、グローバリゼーション、気候変動が著しく加速化した現代においては、もはや平均的な時代が確実に終わったと指摘しています。そのうえで、フリードマン氏は、現代人は何をするにしても常に平均以上になることを志向しなければならないとして、これから競争に勝ち残るためには、常に新しいことを学び続けるという生涯学習者になる能力が最も重要になるとまで強調しています。

 本学の建学の精神である孔子の『論語』には「吾嘗(かつ)て終日食らわず、終夜寝(い)ねず、以て思うも益(えき)なし。学ぶに如(し)かざるなり」という有名な言葉があります。孔子がかつての自分自身を振り返って、一日中食事を摂らず眠りもせずに考えたことがあったが、結局は無意味であり、学ぶことに及ばないという意味です。

 卒業生の皆さん方の中には就職し、社会人となる方も少なくありませんが、むしろ社会人となってからが本当の学びが始まると言えます。その意味からも、どうか、卒業生の皆さん方は、知識を広く貪欲に求め、「生涯学び続けよう」という深い志をもっていっていただきたいと念願してやみません。

令和2年3月7日

学校法人昌平黌 理事長 緑川浩司


校 長 式 辞

 御卒業本当におめでとうございます。

新型コロナウイルスの影響で、卒業式が実施できませんでした。本当に残念でなりません。4月の新たな旅立ちに向けて、心より「頑張れ!」とのエールを送りたいと思います。

皆さんは、創立20周年を迎えた本年度にふさわしい多くの実績を残してくれました。

各種検定試験や昌平留学プロジェクト、総合学習での個人研究、福島医科大学など進路決定への学び等の成果、そして強豪校を破り、初めて県で優勝を決めた野球部や東北・全国大会で活躍した、体操部、陸上部、柔道部などです。

また、中学3年生は、留学プロジェクトに参加した女子生徒が「世界の中で活躍したい」との夢を膨らませ、学びに力を入れ始めたのを皮切りに、昌平学光プロジェクトや温故知新タイムなどにより14人が成績優秀の成績を収めるなど、輝かしい結果を残しました。

これらの基本にあったものは、仁義礼智信の五常の徳であったことは、言うまでもありません。

そして、台風19号などの自然災害の復旧活動を通して、この徳を「利他の心で、人のために」との生き方に昇華させました。

また本年度、「己に克つべし、外物に心を奪わるることなかれ」との重点目標を掲げ教育活動に取り組んできました。

部活動で3年連続して県大会優勝、県の代表としてインターハイ出場、その実績で、全国選抜大会の東北代表として活躍しつつ、大学進学のために、朝7時に登校し、勉強に励んだ生徒の「安易さに心を奪われず、己に勝とうとする姿」は、立派でした。

また、「自分の心に負けない」と、日々の学びや部活動に挑戦した皆さんの成長は目をみはるものがありました。

本当に素晴らしい活躍でした。誇りに思います。

 「令和」は、「人々が美しく心寄せ合う中で文化は花咲き、人々がそれぞれの花を咲かせてほしい」との願いが込められています。

このような時代の中、私たちは昌平黌で、修為要領17条を学び、儒学を基にした人生の羅針盤を持つことができました。

この羅針盤があれば、社会の大海原で迷ったり、つまずいたり、悩んだりしても、最後には必ず目的地にたどり着き、それぞれの花を咲かせることができると確信します。

卒業生の皆さん、どうかこれからの人生、自分に負けないで大輪の花を咲かせてください。

 そして人生を楽しみながら、素敵な未来を創ってください。

 君たちの未来に幸多かれとお祈りいたします。

 最後となりましたが、保護者の皆様へ御礼申し上げます。

 これまでの3年間、中高6年間、ご家庭での苦労はいかばかりだったかとご推察申し上げます。

 しかし、立派に成長しました。特に、保護者会活動や学校行事、部活動など皆様方のご協力があったればこそ、ここまで成長させることができたものと、教職員一同、心から感謝いたします。本当にありがとうございました。

 卒業生の皆さん、さようなら。お元気で。

 

令和2年 3月 7日 

東日本国際大学附属昌平中学・高等学校長 唐木義則